サムエル記第二13章 「子たちの争い」

アムノンが死んだことについて慰めを得たからである。」サムエル記第二13:39

くぅ~ママのちょっと一言

ダビデの長男アムノンですが、痩せるほどに恋焦がれたタマルを意のままにしたとたん憎しみを持つようになります。「してはいけないこと」と「しなくてはならないこと」に対する責任が欠如しています。それはダビデの生き方にも通じます。ダビデはタマルとアムノン事件に対して激しく怒ったにもかかわらず、父として、また王として子どもに正しい判断を示していません。また次に起こったアブサロムがアムノンを殺害した事件に対しても、アムノンの死を嘆くばかりのダビデでした。ダビデの行動はまったく父性的ではありません。

父性の役割は社会のルールを教え、生き方を示して、子どもを社会に送り出すことですが、ダビデのとった行動はどちらかと言うと母性的です。アブノンにしろ、ダビデにしろ現代社会が抱える問題に通じるような気がします。

聖書要約
アムノンとタマル
ダビデの息子の一人のアブサロム王子にはタマルという妹がいました。タマルの異母兄弟のアムノン王子は彼女のことが好きでたまらなく、痩せていくほどでした。それを心配した従弟(ダビデの兄弟の子)のヨナダブは仮病を使って、父ダビデにタマルをよこしてほしいと頼むといいと助言します。父に命じられてタマルはアムノン王子を尋ねますが、そこで力づくで関係をもたされてしまいます。ところがその後アムノン王子のタマルへの愛は憎しみに変わり、彼女を拒否し追い出してしまったのです。悲嘆にくれるタマルを実兄アブサロムは慰め保護します。ダビデはこのことを知って激しく怒りましたが、アムノンに何の処罰もありませんでした。妹を辱められたアブサロムはアムノンへの憎悪を募らせていきました。
アブサロムの復讐
2年後のことです。アブサロムは羊の毛を刈る祝いの席にアムノン王子をはじめ、すべての王子を招きました。ダビデは辞退しました。アブサロムは従者に命じてアムノンが酒に酔ったところで殺すように命じました。「恐れるな。私が命令するのだ。勇気を持って、勇敢な者となれ」と。従者は命令どおりアムノンを殺害しました。他の王子はそれぞれの騾馬に乗って逃げました。他の王子が宮殿に帰りつく前に「王子全員がアブサロムに殺害された」と誤報がダビデの下に入るのですが、ヨナダブは「殺害されたのはアムノン一人です」と王に言いました。しばらくしてヨナダブが言ったとおりである事が分かります。一方アブサロムは母方の祖父のところに身を隠します。ダビデは3年間アムノンの死を悼み続けましたが、諦めがつきアブサロムに会いたいと思うようになったのです。